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整骨院の不正請求の実例(被保険者への文書照会での個別指導)のコラムです。整骨院・接骨院の個別指導・監査は、柔道整復師の指導監査に強い弁護士にご相談下さい。

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整骨院、接骨院の個別指導の実例(8):被保険者への文書照会での中止

整骨院の個別指導、監査に強い弁護士の鈴木陽介です。

個別指導・監査には、弁護士に同席させるべきです。


ここでは、保険者が被保険者に文書照会を実施し、その結果、不正請求が疑われ、情報提供がなされ個別指導となり、監査、受領委任の取扱いの中止相当となった実例をご紹介します。関東信越厚生局の平成30年3月付けの取扱いの中止相当の実例であり、説明のため簡略化等をしています。

整骨院・接骨院の個別指導と監査については、以下のコラムもご覧いただければ幸いです。

【コラム】整骨院、接骨院の個別指導と監査の上手な対応法

保険者の被保険者への文書照会で個別指導となった整骨院


 1 個別指導、監査に至った経緯

関東信越厚生局の公表資料によれば、整骨院が個別指導に至った経緯、監査に至った経緯は以下のとおりです。

1 保険者の被保険者(患者)への文書照会
保険者が被保険者に対して文書照会を行ったところ、被保険者は当該整骨院に行ったことがなく、柔道整復施術療養費支給申請書に記載されている施術日は、エステティックサロンへリラクゼーションを受けに行っていたとの回答があったため、当該エステティックサロンから被保険者証の情報が当該整骨院へ提供され、当該整骨院において不正請求が行われている可能性があるとの情報提供があった。

【コメント】
保険者による患者への文書照会の結果、不正請求が疑われる回答があった場合は、その内容により、管轄の厚生局に情報提供が行われることがあります。情報提供がなされた場合は、個別指導や監査の実施が、情報提供を受けた厚生局において検討されることになります。

本ケースでは、整骨院に行ったことがないとの回答であり、施術日はサロンに行っていたとのことで、被保険者証の情報を利用した悪質性の高い不正請求が疑われる状況といえます。

なお、受領委任に係る施術所ではない場所での施術については、特別な要件を満たさない限り、受領委任の療養費の支給を受けることは認められません。

2 不正請求の疑義での監査の実施
個別指導を実施したところ、不正請求が強く疑われたため、平成29年5月から平成29年10月まで計5日間の監査を実施し、監査の結果として、「2 受領委任の取扱いを中止相当とした理由等」に記載した不正請求の事実を確認した。

【コメント】
情報提供により個別指導が実施され、疑義が解消されず、監査に至っています。

監査の実施日数は5日間、実施期間は5か月間となっています。柔道整復師の整骨院・接骨院への監査は、1日のスケジュールとしては、例えば東京の場合は、午前10時からはじまり、適宜の休憩・中断をはさみつつ、その日の17時ころまでを目安に実施されることが通例です。それが、例えば1か月程度の間隔で手続きが終了するまで実施されていきます。監査の平成29年10月の終了から平成30年3月の中止相当に至るまで、相応の期間を要しており、監査の終了で直ちに最終的な結果となるわけではないことに、留意する必要があります。

 2 受領委任の取扱いを中止相当とした理由等

1 取扱い中止相当の理由:不正請求

@ 他の施術所での施術の不正請求
受領委任の申し出において承諾した施術所(以下「承諾施術所」という。)以外の場所で行った有料サービスを承諾施術所で施術を行ったものとして、療養費を不正に請求していた。

A 柔道整復師でない者の施術の不正請求
はり師・きゅう師・あん摩マッサージ指圧師が行った施術を、柔道整復師が施術を行ったものとして療養費を不正に請求していた。

【コメント】
中止相当の理由は、まとめると、施術所で施術をしていなかったことと、柔道整復師が施術をしていなかったこととなります。関東信越厚生局の個別指導、監査のケースに限らず、受領委任の取扱いの中止となる場合は、細かな算定要件の不充足ではなく、施術の実態がないなど、不正が明確であるケースが多いと思われます。

不正請求は下記のとおり関東信越厚生局により監査で84名分が確認されており、広く不正請求が行われていたことが窺われます。

2 受領委任の取扱いの中止相当年月
平成30年3月

※ 当該柔道整復師は、以後原則5年間は新たに療養費の受領委任の取扱いができない。なお、開設者についても、以後原則5年間は新たに療養費の受領委任の取扱いができない。
※ 当該柔道整復師は、平成29年7月付けで受領委任の取扱いを辞退していることから中止相当としている。

 3 療養費の不正請求

監査で判明した不正請求額

【平成24年6月〜平成29年4月】
・ 不正請求 84名分 124万0181円


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整骨院、接骨院の個別指導と監査のコラム


整骨院・接骨院の個別指導と監査のコラムの一覧です。
文書照会が行われ中止相当となった実例の他、多数のコラムがございます。
個別指導(整骨院、接骨院)の際に、また日常の運営にご活用下さい。

 個別指導と監査の対応法

1 整骨院、接骨院の個別指導と監査

 整骨院・接骨院の個別指導の実例

1 整骨院、接骨院の個別指導の実例(1):一律100円のあんま

2 整骨院、接骨院の個別指導の実例(2):マッサージの不正請求

3 整骨院、接骨院の個別指導の実例(3):施術日数の水増し請求

4 整骨院、接骨院の個別指導の実例(4):施術所外施術の不正請求

5 整骨院、接骨院の個別指導の実例(5):監査拒否での中止

6 整骨院、接骨院の個別指導の実例(6):患者情報提供での監査

7 整骨院、接骨院の個別指導の実例(7):無資格者の施術の不正請求

8 整骨院、接骨院の個別指導の実例(8):被保険者への文書照会

9 整骨院、接骨院の個別指導の実例(9):保険者の情報提供での指導

10 整骨院、接骨院の個別指導の実例(10):患者調査からの監査

11 整骨院、接骨院の個別指導の実例(11):部位転がしでの指導監査

12 整骨院、接骨院の個別指導の実例(12):保険者情報提供での監査

13 整骨院、接骨院の個別指導の実例(13):詐欺の有罪判決後の監査

14 整骨院、接骨院の個別指導の実例(14):無資格者施術の情報提供

15 整骨院、接骨院の個別指導の実例(15):不正請求の謝罪文の提出

16 整骨院、接骨院の個別指導の実例(16):入院中の患者の不正請求

17 整骨院、接骨院の個別指導の実例(17):架空請求の逮捕後の監査

18 整骨院、接骨院の個別指導の実例(18):指導中断後の施術所廃止

19 整骨院、接骨院の個別指導の実例(19):中国四国厚生局の指導

20 整骨院、接骨院の個別指導の実例(20):東海北陸厚生局の監査

21 整骨院、接骨院の個別指導の実例(21):関東信越厚生局の指導

22 整骨院、接骨院の個別指導の実例(22):交通事故不正請求と監査

23 整骨院、接骨院の個別指導の実例(23):近畿厚生局の監査

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