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個別指導(接骨院、整骨院)と監査(柔道整復師)のコラムです。厚生局の個別指導、監査に臨む柔整師の方は、整骨院・接骨院の指導監査に強い弁護士にご相談下さい。

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整骨院、接骨院の個別指導と監査

接骨院の個別指導・監査に強い、弁護士の鈴木陽介です。

サンベル法律事務所は、全国からご依頼を頂き、指導監査の対応業務をしています。

個別指導・監査には、弁護士を同席させるべきです。まずはご相談下さい。


まずお伝えしたいのが、柔整の整骨院、接骨院への個別指導のルール、仕組みを、正確に理解している柔道整復師の方が少ないということです。個別指導になぜ選定されたか、個別指導でどのようなことが行われるか、厚生局の指導担当者はどのような点を指導してくるか、どのような患者が指定されるのか、どのように準備すべきか、など、きちんと理解することがポイントです。

ここでは、柔道整復師への個別指導、監査の対応法をご説明します。

柔道整復師への個別指導・監査の対応法


 1 整骨院・接骨院への指導監査の類型

1 集団指導
概ね1年以内に受領委任の取扱いを「登録」又は「承諾」した柔道整復師を対象に実施されます。整骨院、接骨院(柔道整復師)への集団指導の詳細は、後述の「集団指導・個別指導の概要」をご覧下さい。

2 個別指導
柔整審査会、保険者及び患者等からの情報提供などに基づき、指導監査委員会(地方厚生局に設置)が個別指導の対象となる柔道整復施術所を選定し実施されます。個別指導の結果は、要監査か経過観察となります。整骨院、接骨院(柔道整復師)への個別指導の詳細は、後述の「集団指導・個別指導の概要」をご覧下さい。

3 監査
個別指導の結果、要監査となった場合、監査が実施されます。その結果、不正等が発覚した場合は、受領委任の中止となり、以後原則5年間は受領委任契約が結べなくなります。なお、不正等が発覚した場合で、既に「受領委任の取扱いを辞退」している、または柔道整復師法上の「施術所の廃止」により、受領委任の取扱いの中止措置が行えないときは、受領委任の取扱いの中止相当の措置となります。

 2 集団指導・個別指導の概要

1 集団指導
集団指導の目的
柔道整復師の施術に係る療養費の請求の質的向上及び適正化を図ることを目的として、次に掲げる場合に集団指導が実施されます。
(1)概ね1年以内に受領委任の取扱いを登録又は承諾した柔道整復師
(2)受領委任の規程等の内容を遵守させる必要があると認められる柔道整復師

実施時期
○ 上記(1)に該当する柔道整復師は、原則として、受領委任の取扱いを登録又は承諾した年度内に1回以上実施
○ 上記(2)に該当する柔道整復師は、必要に応じて実施

出席者
○ 受領委任に係る施術管理者が出席を求められます。なお、施術管理者以外の開設者(開設者と管理者が別の場合)、勤務柔道整復師及び療養費請求事務担当者等が同席することは差し支えありませんが、その整骨院、接骨院の施術管理者を代替することはできません。
○ 施術管理者が出席できない場合は理由書の提出を求められ、次回開催時に出席を求められます。

指導内容
以下の内容について講習、講演等の方法で指導が行われます。
・受領委任の取り扱い
・療養費の請求事務
・療養費の支給基準等の改定内容
・過去の指導事例、等

2 個別指導
個別指導の目的
受領委任の取り扱いや療養費の請求等について周知徹底することを目的として、地方厚生局に設置する指導監査委員会で以下の要件に該当する対象者が決定され、整骨院、接骨院(柔道整復師)への個別指導が実施されます。
@ 受領委任の規程等に違反しているものと認められる柔道整復師
A 柔道整復療養費審査委員会、保険者及び患者等からの情報に基づき個別指導が必要と認められる柔道整復師
B 個別指導後の対応において経過観察の対象となり、改善が認められない柔道整復師又は改善状況の確認を要する柔道整
復師

出席者
施術管理者である柔道整復師が出席を求められるほか、必要に応じて開設者、勤務柔道整復師、療養費請求事務担当者等の出席が求められます。

指導内容
事前に抽出した療養費支給申請書(原則として指導月前の連続した概ね6ヶ月分)に基づき、施術録及び関係書類等を閲覧し、面接懇談方式により指導が行われます。

監査への移行
指導中に施術内容又は療養費の請求について、明らかに不正又は著しい不当が疑われる場合は、指導が中止され、必要に応じ患者調査を実施した上で、速やかに監査が行われます。

 3 個別指導(整骨院、接骨院)の対策のポイント

整骨院・接骨院(柔道整復師)への個別指導は、厚生局のルールに則った受領委任の取り扱いや療養費の請求等について、施術管理者である柔道整復師に周知徹底し、適正な運用に改めさせるためのものです。

個別指導それ自体は、整骨院・接骨院、柔整師に不利益を課すものではありません。しかし、個別指導の結果いかんで、監査、そして受領委任の取扱いの中止・療養費の返還がなされ得ることから、療養費の請求にやましいことがなかったとしても、柔整師の心理的な負担は相当なものとなります。不適切な療養費の請求をしていた場合は、それが故意ではなく過失によるものであっても、場合により、受領委任の中止に繋がります。そのため、個別指導への対応の失敗は、整骨院・接骨院の経営、存続を揺るがす事態に繋がります。個別指導から監査に移行した時点で、そのプレッシャーから、施術所を閉めてしまうケースも少なくない印象です。

以下、整骨院、接骨院への柔整の個別指導の対策のポイントを説明します。

1 知見のある方に相談し事前準備を行う
悪いことはしていないから、特段の準備は不要であり、質問に対して正直に回答すればよい、と考えられる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、それは、試験対策をせずに試験に臨むようなものです。そもそも、整骨院・接骨院(柔整師)が個別指導になった場合には、原則として、患者や施術所関係者、保険者等からの、不適切な請求が行われているとの情報提供の存在が前提とされています。個別指導に向けて、十分な事前準備を行うべきです。

事前準備の方法ですが、柔道整復師への個別指導の知識のある専門家に相談し、指導してもらうべきです。柔道整復師の個別指導に詳しい弁護士などにサポートを依頼し、持参物、厚生局への事前送付書類の作成、個別指導に望む方針や想定問答など十分に打合せ、準備をしましょう。特に、厚生局から求められた持参物の適切な準備のためには、整骨院・接骨院の個別指導に知見ある方への相談が必須と思います。持参物の準備が不十分ですと、個別指導の中断、患者調査、そして監査に繋がってしまいます。個別指導の通知を受けたら、悩まず速やかに柔道整復師の個別指導に知見のある方に相談することがポイントです。

2 指導の当日は弁護士を同席させる
個別指導では、どんなに度胸がある方であっても、不安を感じ、緊張してしまうものです。その結果、冷静な対応ができなくなり、認めてはならない真実に反する事実を、誘導されて認めてしまうことがあります。同様に、厚生局の個別指導の担当者と口論をしてしまい、担当者の心証を悪化させてしまうこともあります。担当者も人間ですので、感情的な対応をされると、厳しい対応で臨んでしまうものです。

以上の不適切な対応を防ぐためには、手前味噌ですが、弁護士を帯同し、個別指導に同席させることをお勧めします。整骨院・接骨院の柔道整復師が担当者の質問への回答に困ったときなど、弁護士が助け舟を出せることがありますし、弁護士が帯同・同席するということそれ自体で、担当官の質問が慎重になる効果が期待できます。

弁護士を帯同・同席させると、やましいところがあるから弁護士を連れてきているのではないかと警戒され逆効果なのではないか、とお考えになる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、昨今では、弁護士の帯同・同席は珍しくありません。弁護士の帯同・同席は、行政に法律に則った冷静かつ慎重な対応をさせることに繋がります。

柔道整復師への個別指導が中断となり、患者調査が実施される事態となれば、その調査によって、整骨院・接骨院の地域での信用が棄損され、従業員の士気も大きく低下します(※ただし、個別指導の実施前に厚生局が患者調査を先行して実施しているケースも多々あります。その場合は、原則としては、患者調査の結果を踏まえて、厚生局による柔道整復師への個別指導が実施されることになります。)。個別指導が中断となる前に、個別指導実施の通知を受けたら速やかに整骨院の個別指導に詳しい弁護士にサポートを依頼し、初回から弁護士を帯同させて個別指導に臨むことをお勧めします。

 4 監査(整骨院、接骨院)への対策のポイント

柔道整復師による施術内容又は療養費の請求について、不正または著しい不当が疑われる場合等において、的確に事実関係を把握するために、監査が行われます。

そして、監査の結果、相応の不正又は著しい不当の事実が認められた場合には、受領委任の取扱いが中止され、以後原則5年間は受領委任契約等を結べないよう措置がなされるとともに、不正等により支払われた療養費の返還が求められます。なお、監査の結果相応の不正等の事実が認められた場合で、既に受領委任の取扱いを辞退しているまたは施術所の廃止により受領委任の取扱いの中止措置が行えないときは、受領委任の取扱いの中止相当の措置となります。

監査は、柔道整復師への個別指導の結果、不正などが疑われていることが前提になされるもので、終了後の受領委任の取扱いの中止などが控えており、監査の結果次第で、受領委任が取り扱えなくなり、その場合は通常、整骨院・接骨院は倒産することになります。受領委任の中止となった場合、その旨が公表されるほか、柔道整復師の免許の行政処分(業務停止処分)に結び付くことがあります。
行政処分については、柔道整復師の行政処分のコラムに記載しています。

監査に至らないようにすることが重要ですが、監査に至ってしまった場合は、受領委任の中止(または受領委任の中止相当)がなされないように、適切に対応する必要があります。

監査では、施術に関する事実関係について、長時間、複数日をかけて問答形式で調査が行われ、回答事項をまとめた書面などの確認や署名等を柔道整復師は求められます。弁護士が帯同・同席すれば、回答方針などについて弁護士からアドバイスを受けることができますし、回答事項をまとめた書面の確認の際には、弁護士とともに内容を確認し、必要に応じ弁護士のアドバイスの下に記載内容の修正を求めることもできます。また、監査は、厚生局側の職員が、例えば6人程度の体制であり、対して柔道整復師が1人で対応するのでは、雰囲気にのまれてしまいます。そこに整骨院・接骨院の個別指導、監査に強い弁護士が立ち会うことで、そのプレッシャーを緩和できます。個別指導・監査に詳しい弁護士にサポートを依頼し、弁護士を帯同・同席させて監査に臨むことをお勧めします。

なお、監査では、施術管理者の柔整師やその施術所の開設者のみのならず、必要に応じ勤務柔整師やスタッフの方なども呼び出しを受け、調査・ヒアリングが実施されることが稀ではありません。その結果、勤務柔整師やスタッフが退職してしまい、院長としてはやむを得ず、経営が維持できなくなることもあります。弁護士は、そのような事態での適切な対応についても、アドバイスすることができます。

柔道整復師への個別指導・監査の実施状況


 1 整骨院、接骨院の個別指導、監査の統計

厚生労働省の公表資料の「柔道整復師に対する指導・監査等の実施状況」(令和4.3.24)によれば、令和2年度、令和元年度、平成30年度の個別指導と監査の実施状況などは以下のとおりです。整骨院が個別指導となった場合は、統計上、相応の確率で監査となり、また、監査となった場合は、統計上、高い確率で中止等となることがうかがえます。

なお、以下の年度ごとの個別指導の件数と年度ごとの情報提供(通報)の件数との対比から、厚生局に整骨院・接骨院の不正請求等の情報提供、通報が患者やスタッフなどからあったとしても、それにより厚生局によるその整骨院・接骨院への個別指導の実施に至るケースは、割合としては小さいということが読み取れます。厚生局は、情報提供・通報を受けた不正請求等の内容を吟味し、信ぴょう性等も含め総合的に検討の上で、係る整骨院・接骨院(柔道整復師)への個別指導や監査の実施について判断しているものと考えられます。

1 集団指導
令和 2年度:3414人
令和 元年度:2497人
平成30年度:4092人

2 個別指導
令和 2年度:22件
令和 元年度:46件
平成30年度:67件

3 監査
令和 2年度: 7件
令和 元年度:10件
平成30年度:12件

4 中止等
令和 2年度: 9件
令和 元年度: 5件
平成30年度:10件

5 (参考)情報提供
令和 2年度:302件
令和 元年度:549件
平成30年度:516件

 2 受領委任の中止の取扱いについて

1 受領委任の契約上の位置づけ
整骨院、接骨院の受領委任の中止については、受領委任に係る協定又は契約の当事者である地方厚生局長と都道府県知事が行うものとされています。

また、受領委任に係る承諾及び登録は、契約という形態をとっていますが、受領委任の取扱いを認めるにふさわしい施術者等であることを行政として公に認める行為であり、受領委任通知に基づき本来的に行政が行うべきものとし、地方厚生(支)局が実施することとされています。

受領委任に係る登録等は、各健康保険組合から委任を受けた健康保険組合連合会会長等からの委任を受けて実施されていますが、この委任は、個別の施術者等が受領委任の取扱いを行政に委ねるとともに、受領委任の取扱いを認めることを行政に対して約束しているものです。

2 受領委任の中止の取扱いの根拠
柔道整復師の施術に係る療養費について(平成22年5月24日付け保発0524第4号)
別添1 協定書(別紙)
(受領委任の取扱いの中止)
13 甲(地方厚生局長)と乙(都道府県知事)は、丁(施術管理者)又は勤務する柔道整復師が次の事項に該当する場合は、受領委任の取扱いを中止すること。
(1) 本協定(本規定)に定める事項を遵守しなかったとき。
(2) 療養費の請求内容に不正又は著しい不当の事実が認められたとき。
(3) その他、受領委任の取扱いを認めることが不適当と認められるとき。

柔道整復師の施術に係る療養費に関する審査委員会の設置及び指導監査について(平成11年10月20日付け保発第145号、老発第683号)
別添2 柔道整復師の施術に係る療養費の指導監査要領
5 監査
(3) 監査後の措置
@ 地方厚生(支)局長及び都道府県知事は、療養費の請求内容に不正又は著しい不当の事実が認められた場合は、受領委任の取扱いを中止する。
  なお、受領委任の取扱いの中止は、次の基準によって行う。
ア 故意に不正又は著しい不当な療養費の請求を行ったもの。
イ 重大な過失により、不正又は著しい不当な療養費の請求をしばしば行ったもの。


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整骨院、接骨院の個別指導と監査のコラム


整骨院・接骨院の柔道整復師への個別指導と監査のコラムの一覧です。
個別指導(整骨院、接骨院)の際に、また日常の運営にご活用下さい。

 1 個別指導と監査の対応法

1 整骨院、接骨院の個別指導と監査

 2 整骨院・接骨院の個別指導の実例

1 整骨院、接骨院の個別指導の実例(1):一律100円のあんま

2 整骨院、接骨院の個別指導の実例(2):マッサージの不正請求

3 整骨院、接骨院の個別指導の実例(3):施術日数の水増し請求

4 整骨院、接骨院の個別指導の実例(4):施術所外施術の不正請求

5 整骨院、接骨院の個別指導の実例(5):監査拒否での中止

6 整骨院、接骨院の個別指導の実例(6):患者情報提供での監査

7 整骨院、接骨院の個別指導の実例(7):無資格者の施術の不正請求

8 整骨院、接骨院の個別指導の実例(8):被保険者への文書照会

9 整骨院、接骨院の個別指導の実例(9):保険者の情報提供での指導

10 整骨院、接骨院の個別指導の実例(10):患者調査からの監査

11 整骨院、接骨院の個別指導の実例(11):部位転がしでの指導監査

12 整骨院、接骨院の個別指導の実例(12):保険者情報提供での監査

13 整骨院、接骨院の個別指導の実例(13):詐欺の有罪判決後の監査

14 整骨院、接骨院の個別指導の実例(14):無資格者施術の情報提供

15 整骨院、接骨院の個別指導の実例(15):不正請求の謝罪文の提出

16 整骨院、接骨院の個別指導の実例(16):入院中の患者の不正請求

17 整骨院、接骨院の個別指導の実例(17):架空請求の逮捕後の監査

18 整骨院、接骨院の個別指導の実例(18):指導中断後の施術所廃止

19 整骨院、接骨院の個別指導の実例(19):中国四国厚生局の指導

20 整骨院、接骨院の個別指導の実例(20):東海北陸厚生局の監査

21 整骨院、接骨院の個別指導の実例(21):関東信越厚生局の指導

22 整骨院、接骨院の個別指導の実例(22):交通事故不正請求と監査

23 整骨院、接骨院の個別指導の実例(23):近畿厚生局の監査

 3 柔道整復師の個別指導、監査の判例

1 個別指導、監査の判例(1):受領委任の取扱いの中止と再開申出

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