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不正請求の実例(保険者の情報提供・通報の個別指導)のコラムです。整骨院・接骨院の個別指導・監査は、柔道整復師の指導監査に強い弁護士にご相談下さい。

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整骨院、接骨院の個別指導の実例(9):保険者の情報提供での個別指導

整骨院の個別指導、監査に強い弁護士の鈴木陽介です。

個別指導・監査には、弁護士に同席させるべきです。


ここでは、保険者の情報提供・通報(文書照会をした結果の架空請求の疑い)での個別指導、監査、受領委任の取扱いの中止の実例をご紹介します。九州厚生局の平成30年3月付けの取扱いの中止の実例であり、簡略化等をしています。

整骨院・接骨院の個別指導と監査については、以下のコラムもご覧いただければ幸いです。

【コラム】整骨院、接骨院の個別指導と監査の上手な対応法

保険者の情報提供で個別指導、監査、中止となった整骨院


 1 個別指導、監査に至った経緯

九州厚生局の公表資料によれば、整骨院が個別指導に至った経緯、監査に至った経緯は以下のとおりです。

1 保険者からの架空請求の情報提供
平成28年12月、九州厚生局鹿児島事務所及び鹿児島県に、整骨院の患者に対して文書照会を行った保険者(奄美市)から、照会期間内には施術を受けていない患者がいるなど不正請求が疑われる旨の情報提供があった。

【コメント】
保険者側からの患者に対する文書照会の結果、施術をしていない日に施術をしているものとしてレセプト請求が行われている場合、まずは保険者側において是正など施術所側に求めることもありますが、保険者の判断により、直ちに厚生局などに情報提供・通報され、厚生局の個別指導に結び付く場合もあります。

2 架空請求の自認による個別指導の中断 
平成29年5月、開設者で施術管理者でもある柔道整復師に対し個別指導を実施したところ、柔整師が、実際には施術を行っていないにもかかわらず、施術を行ったものとして療養費の請求を行ったことを認めたため、個別指導を中断した。

【コメント】
本ケースでは、施術管理者が施術を行っていないのに行ったものとして請求していたことを認めています。このように不正請求を認めた場合は、このまま個別指導を終了し今後の改善と自主返還を求めるだけでは不適切であるなどと厚生局に判断されたケースなどでは、個別指導が中断とされることがあります。

厚生局は、個別指導の運用の実態として、柔道整復師の不適切な請求が認められれば必ず個別指導を中断しているというわけではなく、不適切な請求の件数や証拠状況なども踏まえて、中断とするか総合的に判断しているとのイメージです。

3 患者調査の実施、不正請求の確認
平成29年10月に患者調査を実施したところ、平成28年中は整骨院では一度も施術を受けていない旨の回答を2名から得た。

【コメント】
患者調査は、情報提供などに基づき個別指導に先駆けて実施されることもありますが、本ケースのように、個別指導を実施し中断がなされてから実施されることもあります。

中断後に患者調査が実施された場合、厚生局は、患者調査の結果を踏まえ、監査の実施を判断することになります。

4 個別指導の再開、監査の実施 
平成29年10月に個別指導を再開したところ、療養費を請求しているにもかかわらず、その根拠となる施術録が作成されていないものや、同一患者の同一年月分の施術録が2部作成されているなどの事実が判明し、不適切な請求を行っていることが強く疑われたため個別指導を中止し、平成29年12月に監査を実施した。

【コメント】
個別指導から監査の実施に至る場合、このケースにように、個別指導が実施され、中断され、さらに個別指導が再開され中断され、中止され、そして監査の実施となるケースが見受けられます。

現在の指導監査の運用状況からしますと、施術所に係る個別指導が中断せず終了した場合、少なくともその時点では、厚生局は監査は実施しないとの判断をしたと推測できるものと思われます。

 2 受領委任の取扱いを中止とした理由等

1 取扱い中止の理由:不正請求

@ 療養費の架空請求
実際には施術を行っていないにもかかわらず、施術を行ったものとして施術録に不実記載し、療養費を不正に請求していた。

A 療養費の付け増し請求
実際に行った施術に行っていない施術を付け増して、療養費を不正に請求していた。

【コメント】
架空請求や施術日数の水増し請求(付け増し請求)は、厚生局としては、ランクの高い重大な不正と判断しているものと思われます。このような不正の情報提供・通報が明確な証拠を伴う形で保険者や患者からあった場合、受領委任の取扱いの中止に結び付くことが稀ではないものと考えられます。

2 受領委任の取扱いを中止とする根拠規定
柔道整復師の施術に係る療養費について
別添1協定書第2章13の(1)及び(2)
平成22年5月24日付保発第0524第2号厚生労働省保険局長通知
最終改正:平成29年9月4日付保発0904第2号

3 受領委任の取扱いの中止年月
平成30年3月

※ 当該柔道整復師及び当該開設者が開設する施術所は、以後、原則として5年間は、療養費に係る新規の受領委任の取扱いが認められない。
※ この措置は、九州厚生局及び鹿児島県が共同して監査を実施した結果、実際には施術を行っていないにもかかわらず、施術を行ったものとして療養費を不正に請求していたことなどが判明したことによるものである。

 3 療養費の不正請求

監査において確認した不正請求に係る柔道整復施術療養費支給申請書の件数及び金額

【平成28年1月〜平成28年11月】
・ 不正請求 7名分 支給申請書 15件 10万2067円

※ 上記の件数及び金額は、監査で確認したもののみを計上しており、最終的な不正・不当請求の件数及び金額は、今後精査していくこととしているので、現時点では確定していない。


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整骨院、接骨院の個別指導と監査のコラム


整骨院・接骨院の個別指導と監査のコラムの一覧です。
情報提供、通報での個別指導、監査の実例の他、多数のコラムがございます。
個別指導(整骨院、接骨院)の際に、また日常の運営にご活用下さい。

 個別指導と監査の対応法

1 整骨院、接骨院の個別指導と監査

 整骨院・接骨院の個別指導の実例

1 整骨院、接骨院の個別指導の実例(1):一律100円のあんま

2 整骨院、接骨院の個別指導の実例(2):マッサージの不正請求

3 整骨院、接骨院の個別指導の実例(3):施術日数の水増し請求

4 整骨院、接骨院の個別指導の実例(4):施術所外施術の不正請求

5 整骨院、接骨院の個別指導の実例(5):監査拒否での中止

6 整骨院、接骨院の個別指導の実例(6):患者情報提供での監査

7 整骨院、接骨院の個別指導の実例(7):無資格者の施術の不正請求

8 整骨院、接骨院の個別指導の実例(8):被保険者への文書照会

9 整骨院、接骨院の個別指導の実例(9):保険者の情報提供での指導

10 整骨院、接骨院の個別指導の実例(10):患者調査からの監査

11 整骨院、接骨院の個別指導の実例(11):部位転がしでの指導監査

12 整骨院、接骨院の個別指導の実例(12):保険者情報提供での監査

13 整骨院、接骨院の個別指導の実例(13):詐欺の有罪判決後の監査

14 整骨院、接骨院の個別指導の実例(14):無資格者施術の情報提供

15 整骨院、接骨院の個別指導の実例(15):不正請求の謝罪文の提出

16 整骨院、接骨院の個別指導の実例(16):入院中の患者の不正請求

17 整骨院、接骨院の個別指導の実例(17):架空請求の逮捕後の監査

18 整骨院、接骨院の個別指導の実例(18):指導中断後の施術所廃止

19 整骨院、接骨院の個別指導の実例(19):中国四国厚生局の指導

20 整骨院、接骨院の個別指導の実例(20):東海北陸厚生局の監査

21 整骨院、接骨院の個別指導の実例(21):関東信越厚生局の指導

22 整骨院、接骨院の個別指導の実例(22):交通事故不正請求と監査

23 整骨院、接骨院の個別指導の実例(23):近畿厚生局の監査

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