柔道整復師が架空請求で逮捕され、有罪判決後の厚生局の監査の実例です。整骨院・接骨院の個別指導・監査は、柔道整復師の指導監査に強い弁護士にご相談下さい。

整骨院の個別指導、監査に強い弁護士の鈴木陽介です。

個別指導・監査には、弁護士に同席させるべきです。

ここでは、架空請求での詐欺で逮捕、起訴された柔道整復師について、その後、有罪判決が確定し、厚生局の監査となり受領委任の取扱いの中止相当となった実例をご紹介します。近畿厚生局の平成３０年１２月付けの中止相当の実例であり、説明のため簡略化等をしています。

整骨院・接骨院の個別指導と監査については、以下のコラムもご覧いただければ幸いです。

【コラム】整骨院、接骨院の個別指導と監査の上手な対応法

架空請求での逮捕、有罪判決の後に厚生局の監査となった整骨院

　１　監査に至った経緯

近畿厚生局の公表資料によれば、柔道整復師の施術所について、監査に至った経緯は以下のとおりです。

１　柔道整復施術療養費の詐欺での逮捕
柔道整復施術療養費をだまし取ったとして、当該整骨院の運営会社元社長及び同役員が詐欺容疑で逮捕された。

【コメント】
整骨院の運営会社の関係者が、柔道整復施術料費に関して、詐欺で逮捕されています。

捜査機関が療養費の不正請求で捜査を開始し柔道整復師の逮捕等に踏み切るかは、捜査機関の判断となり、捜査機関への告訴・告発等があれば必ず本格的な捜査が開始されるというわけではありません。捜査機関は、具体的な事実関係や証拠状況などを総合的に判断し、本格的な捜査を開始するか判断しているものと考えられます。

２　有罪判決の確定
その後、大阪地方裁判所において、被告両名に対し懲役２年10月の有罪判決が言い渡され判決が確定した。

【コメント】
執行猶予がついていない懲役２年10月の実刑判決としますと、いわゆる療養費の不正請求での有罪判決としては、重いものと考えます。

３　監査の実施
有罪判決が確定したため、当該柔道整復師に対して監査を実施した。

【コメント】
厚生局としては、捜査機関の捜査が行われ、不正請求で有罪判決となった場合は、その事実を重く受け止め、基本的には、その柔整師について、監査、中止（中止相当）の方向で検討・対応していくものと考えられます。

　２　受領委任の取扱いの中止相当とした理由等

近畿厚生局指導監査課と大阪府が柔道整復師に対して監査を実施した結果、不正な請求を行っていたことが判明したため、柔道整復施術療養費の受領委任の取扱いの中止相当を決定しました。

１　取扱い中止相当の主な理由

（不正事項）
�@　架空請求
施術を行っていないにもかかわらず、施術を行ったものとして、療養費を不正に請求していた。

【コメント】
架空請求での中止相当となります。架空請求は、典型的な不正請求であり、厚生局に悪質なランクの高い不正請求と判断されるものと思われます。

２　中止相当年月日
平成30年12月14日
当該柔道整復師は、原則として以後５年間は療養費の受領委任の取扱いができない。

（根拠規定）
柔道整復師の施術に係る療養費について（平成22年５月24日付け保発0524第２号厚生労働省保険局長通知　最終改正：平成30年５月24日付け保発0524第２号厚生労働省保険局長通知）

　３　監査で判明した不正請求額

平成２３年４月〜平成２８年１月施術分

　不正請求　２名分　２０３万０２５２円

【参考】
「柔道整復施術療養費の受領委任の取扱い」とは
施術を受けた患者は、要した費用のうち一部負担金のみを柔道整復師に支払い、残りの費用は患者から療養費の受領の委任を受けた柔道整復師が保険者に請求できる取扱いのことです。
受領委任の取扱いの中止措置を受けた柔道整復師は、原則として中止後５年間は受領委任の取扱いができません。

「受領委任の取扱いの中止相当」とは
本来中止措置とすべきであるが、既に受領委任の取扱いを辞退しており中止ができないため、中止となった場合と同等の措置（原則として５年間は受領委任の取扱いを認めない）を行うものです。

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整骨院、接骨院の個別指導と監査のコラム

整骨院・接骨院の個別指導と監査のコラムの一覧です。
架空請求で逮捕され監査となった実例の他、様々なケースをご紹介しています。
個別指導（整骨院、接骨院）の際に、また日常の運営にご活用下さい。

　個別指導と監査の対応法

１　整骨院、接骨院の個別指導と監査

　整骨院・接骨院の個別指導の実例

１　整骨院、接骨院の個別指導の実例（１）：一律100円のあんま

２　整骨院、接骨院の個別指導の実例（２）：マッサージの不正請求

３　整骨院、接骨院の個別指導の実例（３）：施術日数の水増し請求

４　整骨院、接骨院の個別指導の実例（４）：施術所外施術の不正請求

５　整骨院、接骨院の個別指導の実例（５）：監査拒否での中止

６　整骨院、接骨院の個別指導の実例（６）：患者情報提供での監査

７　整骨院、接骨院の個別指導の実例（７）：無資格者の施術の不正請求

８　整骨院、接骨院の個別指導の実例（８）：被保険者への文書照会

９　整骨院、接骨院の個別指導の実例（９）：保険者の情報提供での指導

10　整骨院、接骨院の個別指導の実例（10）：患者調査からの監査

11　整骨院、接骨院の個別指導の実例（11）：部位転がしでの指導監査

12　整骨院、接骨院の個別指導の実例（12）：保険者情報提供での監査

13　整骨院、接骨院の個別指導の実例（13）：詐欺の有罪判決後の監査

14　整骨院、接骨院の個別指導の実例（14）：無資格者施術の情報提供

15　整骨院、接骨院の個別指導の実例（15）：不正請求の謝罪文の提出

16　整骨院、接骨院の個別指導の実例（16）：入院中の患者の不正請求

17　整骨院、接骨院の個別指導の実例（17）：架空請求の逮捕後の監査

18　整骨院、接骨院の個別指導の実例（18）：指導中断後の施術所廃止

19　整骨院、接骨院の個別指導の実例（19）：中国四国厚生局の指導

20　整骨院、接骨院の個別指導の実例（20）：東海北陸厚生局の監査

21　整骨院、接骨院の個別指導の実例（21）：関東信越厚生局の指導

22　整骨院、接骨院の個別指導の実例（22）：交通事故不正請求と監査

23　整骨院、接骨院の個別指導の実例（23）：近畿厚生局の監査