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柔道整復師が個別指導の中断中に施術所を廃止し、受領委任の取扱いを辞退し、監査となった実例です。整骨院・接骨院の個別指導・監査は、弁護士にご相談下さい。

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整骨院、接骨院の個別指導の実例(18):指導中断後の施術所の廃止

整骨院の個別指導、監査に強い弁護士の鈴木陽介です。

個別指導・監査には、弁護士に同席させるべきです。


ここでは、保険者からの情報提供により厚生局の個別指導となった柔道整復師について、個別指導の中断後に施術所を廃止し、受領委任の取扱いを辞退し、その後に監査となり、監査の出頭拒否で受領委任の取扱いの中止相当となった実例をご紹介します。九州厚生局の平成31年3月付けの中止相当の実例であり、説明のため簡略化等をしています。

整骨院・接骨院の個別指導と監査については、以下のコラムもご覧いただければ幸いです。

【コラム】整骨院、接骨院の個別指導と監査の上手な対応法

個別指導の中断後、施術所を廃止し、監査・取消しとなった整骨院


 1 監査に至った経緯

九州厚生局の公表資料によれば、柔道整復師の施術所について、監査に至った経緯は以下のとおりです。

1 保険者からの情報提供
平成29年9月、保険者から、患者に対し文書照会を行ったところ、患者3名について施術を受けていないと回答している月であるにもかかわらず、施術所から療養費の支給申請が行われているとの情報提供があった。

【コメント】
施術を受けていない月にもかかわらず請求がなされているというもので、いわゆる架空請求の厚生局への情報提供・通報になります。

患者複数名の架空請求の情報提供が保険者からあった場合、悪質なランクの高い不正請求と判断され、厚生局としても、厳しく対応をしていくものと考えられます。

2 情報提供内容と相違する申述での中断
上記情報提供を受け、平成30年4月13日に個別指導を実施したところ、柔整師は、療養費の支給申請について、「全て療養費支給申請書のとおりに施術を行った。」と終始回答するなど、保険者が実施した文書照会に対する患者の回答内容と相違する申述がなされたことから、個別指導を中断した。

【コメント】
施術所の柔整師が、レセプトどおり、療養費の支給申請書のとおり施術を行っていると、個別指導で回答しています。このようなケースでは、まずは施術所・柔整師の持参物の内容が確認され、その上で、柔道整復師の回答が正しいか、あるいは疑義があり個別指導を中断し精査や患者調査などが必要か、証拠状況などを総合的に勘案の上で、判断されるものと思われます。

本ケースでは、柔整師の回答について精査が必要と判断され、個別指導の中断に至っているものと考えられます。なお、個別指導が中断となった場合、厚生局の精査等の結果次第で、監査に繋がる状況と判断すべきです。

3 中断中の施術所の廃止、受領委任の辞退
平成30年6月6日に、柔整師から、平成30年5月31日付けで当該施術所を廃止したとして、受領委任の取扱いの辞退に係る届出が提出された。

【コメント】
柔整師の施術所(接骨院・整骨院)が廃止された場合、運用上、厚生局のいわゆる個別指導は実施できなくなります(ただし、個別指導に類似した形で厚生局による面談での確認など行われることはあります。)。監査は施術所の廃止後も実施できますので、その結果、厚生局としては、個別指導を再開することはできず、係る施術所について、監査を実施するか判断すべきことになります。

個別指導の中断中に柔道整復師が施術所を廃止した場合、感覚的には、その施術所について、監査となる可能性が高まる印象があります。

4 患者調査での不正請求の確認
その後、患者調査を実施したところ、施術を受けていないと回答した日の療養費支給申請が行われている患者が8名確認されるなど、当該施術所から提出された柔道整復施術療養費の請求内容が不正又は著しく不当なものであることが強く疑われたことから、監査を実施することとした。

【コメント】
患者調査が実施され、その結果、架空請求、日数の水増し請求の疑義が深まったため、監査の実施に至っています。

 2 受領委任の取扱いの中止相当とした理由等

九州厚生局及び佐賀県が柔道整復師に対して監査を実施した結果、元開設者及び元施術管理者である柔道整復師が、出頭を求められてこれに応じず、検査を拒み忌避したことによるものです。

1 監査の出頭拒否について
平成30年10月23日、11月28日及び12月26日を実施日とする監査実施通知を発出したところ、監査当日に柔整師が出頭しなかった。 監査実施通知には「正当な理由なく監査を欠席した場合は、受領委任の取扱いの中止相当措置を行うことがありますので、念のため申し添えます。」と明記していたにもかかわらず、柔整師は3回にわたる監査に正当な理由なく出頭を拒否していることから、今後も監査への出頭の意思がないものと判断し、監査を終了することとした。

【コメント】
監査を正当な理由なく欠席し、今回のケースではそれが3回となった段階で、今後も監査への出頭の意思がないものと厚生局に判断され、受領委任の取扱いの中止相当となっています。

本ケースにように、監査実施通知の前の段階で柔整師が施術所を廃止しているケースは、柔道整復師が監査に出頭せず、それを理由に中止相当となっている事例が稀ではないと感じます。

2 出頭拒否となった監査において確認を予定していたもの

@架空請求の疑い
実際には行っていない柔道整復に係る施術を行ったものとして療養費を不正に請求していた疑い。
(126件 約95万3千円)

A付増請求の疑い
実際に行った柔道整復に係る施術内容に、実際には施術を行っていない日の施術内容を付け増して療養費を不正に請求していた疑い。
(16件 約6万9千円)

3 受領委任の取扱いの中止相当年月日
平成31年3月15日
〔当該柔道整復師は以後、原則として5年間は、療養費に係る新規の受領委任の取扱いが認められない。〕
※ 当該柔道整復師は、平成30年5月31日付で受領委任の取扱いを辞退していることから中止相当としている。

4 受領委任の取扱いを中止相当とする根拠規定
「柔道整復師の施術に係る療養費について」
別添2「受領委任の取扱規程」第2章14の(1)
〔平成22年5月24日付保発0524第2号厚生労働省保険局長通知最終改正:平成30年5月24日付保発0524第2号〕


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整骨院、接骨院の個別指導と監査のコラム


整骨院・接骨院の個別指導と監査のコラムの一覧です。
指導の中断後に施術所を廃止し受領委任の取扱いを辞退し、監査となった実例の他、様々なケースをご紹介しています。
個別指導(整骨院、接骨院)の際に、また日常の運営にご活用下さい。

 個別指導と監査の対応法

1 整骨院、接骨院の個別指導と監査

 整骨院・接骨院の個別指導の実例

1 整骨院、接骨院の個別指導の実例(1):一律100円のあんま

2 整骨院、接骨院の個別指導の実例(2):マッサージの不正請求

3 整骨院、接骨院の個別指導の実例(3):施術日数の水増し請求

4 整骨院、接骨院の個別指導の実例(4):施術所外施術の不正請求

5 整骨院、接骨院の個別指導の実例(5):監査拒否での中止

6 整骨院、接骨院の個別指導の実例(6):患者情報提供での監査

7 整骨院、接骨院の個別指導の実例(7):無資格者の施術の不正請求

8 整骨院、接骨院の個別指導の実例(8):被保険者への文書照会

9 整骨院、接骨院の個別指導の実例(9):保険者の情報提供での指導

10 整骨院、接骨院の個別指導の実例(10):患者調査からの監査

11 整骨院、接骨院の個別指導の実例(11):部位転がしでの指導監査

12 整骨院、接骨院の個別指導の実例(12):保険者情報提供での監査

13 整骨院、接骨院の個別指導の実例(13):詐欺の有罪判決後の監査

14 整骨院、接骨院の個別指導の実例(14):無資格者施術の情報提供

15 整骨院、接骨院の個別指導の実例(15):不正請求の謝罪文の提出

16 整骨院、接骨院の個別指導の実例(16):入院中の患者の不正請求

17 整骨院、接骨院の個別指導の実例(17):架空請求の逮捕後の監査

18 整骨院、接骨院の個別指導の実例(18):指導中断後の施術所廃止

19 整骨院、接骨院の個別指導の実例(19):中国四国厚生局の指導

20 整骨院、接骨院の個別指導の実例(20):東海北陸厚生局の監査

21 整骨院、接骨院の個別指導の実例(21):関東信越厚生局の指導

22 整骨院、接骨院の個別指導の実例(22):交通事故不正請求と監査

23 整骨院、接骨院の個別指導の実例(23):近畿厚生局の監査

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