接骨院の情報提供（患者）での監査の実例のコラムです。整骨院・接骨院の個別指導・監査は、柔道整復師の指導監査に強い弁護士にご相談下さい。

整骨院の個別指導、監査に強い弁護士の鈴木陽介です。

個別指導・監査には、弁護士に同席させるべきです。

ここでは、接骨院での患者の情報提供に基づく監査による中止相当の実例をご紹介します。東海北陸厚生局の平成２５年４月付けの取扱いの中止相当の実例であり、説明のため簡略化等をしています。

整骨院・接骨院の個別指導と監査については、以下のコラムもご覧いただければ幸いです。

【コラム】整骨院、接骨院の個別指導と監査の上手な対応法

接骨院の患者の情報提供による監査の実例

　１　監査の経緯（患者情報提供）

東海北陸厚生局の公表資料によれば、接骨院が監査に至った経緯は以下のとおりです。

１　医療費通知をみた患者からの情報提供
平成２３年４月、保険者を経由して、医療費通知を見た患者から、「医療費通知に受診していない月の記載がある。」旨の情報提供があった。

【コメント】
本ケースでは、患者から保険者に、医療費通知の記載について受診していない月があると、いわゆる架空請求の情報提供がなされ、それが厚生局に保険者からさらに情報提供されています。医療費通知をみた患者が通知の記載内容に違和感をもち、税務上の取扱いの問題などもあり、保険者に質問し、情報提供するケースが稀ではないという印象です。患者などから架空請求の情報提供があった場合、厚生局は、特に厳しく対応するものと考えられます。

２　監査の実施、架空請求・付増請求の確認　
平成２４年１１月５日、同年１２月３日、同年１２月４日、平成２５年１月２２日、同年1 月２３日、同年２月５日に当該施術管理者に対し、東海北陸厚生局と富山県が共同で監査を実施したところ、施術を行っていないにもかかわらず、施術を行ったものとして療養費請求したとする架空請求などの不正請求を確認した。

【コメント】
本ケースでは、個別指導の実施がなされず、監査の実施となっています。厚生局の監査は、平成２４年１１月から平成２５年２月まで、計６日間実施され、患者から情報提供のあった架空請求などの不正請求が確認されています。

３　受領委任の取扱いの中止相当
当該施術管理者は、既に平成２４年３月３１日に受領委任の取扱いを辞退しているため、平成２５年４月２４日付で当該施術管理者の療養費の受領委任の取扱いを中止相当とすることとした。

【コメント】
施術管理者が受領委任の取扱いの辞退しているため、中止相当となっています。なお、本ケースのとおり、施術管理者が受領委任の取扱いを辞退していたとしても、厚生局は監査を実施できますので、注意が必要です。

　２　患者の情報提供を端緒に中止相当とした理由等

１　取扱い中止相当の理由
（１）監査において判明した不正請求の主な事例
架空請求
・施術を行っていないにもかかわらず、施術を行ったものとして療養費を不正に請求していた。
付増請求
・実際に行った保険施術に行っていない保険施術を付け増して療養費を不正に請求していた。
その他の請求
・療養費の支給対象外である慢性疾患等について、外傷性の負傷であるとして療養費を不正に請求していた。
・実態のない負傷名をつけて、実際の施術部位とは違う部位を施術したとして療養費を不正に請求していた。

【コメント】
上記のとおり、患者から情報提供のあった架空請求（不正請求）をはじめとする不正請求が確認されています。架空請求がなされているケースでは、厚生局としては、付増請求なども行っているのではないか、様々な不正請求を行っていたのではないか、と疑ってくる印象です。なお、受領委任の中止相当年月は平成２５年４月であり、平成２３年４月の情報提供から中止相当まで約２年がかかっています。

２　受領委任の取扱いの中止相当年月
平成２５年４月

※　受領委任の取扱いの中止相当とは
　　本来、中止措置とすべきであるが、受領委任の取扱いを辞退したり、既に施術所を廃止した場合には中止ができないため、中止となった場合と同等の措置（以後原則５年間受領委任の取扱いを認めない。）を行うものである。
　　当該柔道整復師は、以後原則５年間療養費の受領委任の取扱いができない。

　３　療養費の不正請求の金額等

１　監査時に判明した不正請求額（概算額）
平成２２年８月から平成２４年１月施術分
　合計　１９名分
　金額　１９７万６３２０円

２　今後の東海北陸厚生局の対応
（１）今回の監査時に判明した不正請求額については、当該柔道整復師から保険者へ返還するように指導していく。また、当該柔道整復師に対しては自主点検を指示し、過去に同様の事例がある場合は、自主返還を指導する。
（２）療養費の一部負担金については、領収書及び明細書の発行が義務化されたところであるため、保険者等に協力を求め被保険者への周知に努めたい。（注）
（３）保険給付の適正化を図るため、柔道整復師に対して、療養費の支給申請等に係る適正な取扱いについて、更に指導を徹底し、再発防止に努めていきたい。

注：平成２２年９月１日施術分より療養費の一部負担金の支払いを受ける際は、領収書を無償で交付しなければならない。また、患者より費用に係る明細書の発行を求められた場合には明細書を交付することとされた。

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整骨院、接骨院の個別指導と監査のコラム

整骨院・接骨院の個別指導と監査のコラムの一覧です。
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　個別指導と監査の対応法

１　整骨院、接骨院の個別指導と監査

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８　整骨院、接骨院の個別指導の実例（８）：被保険者への文書照会

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10　整骨院、接骨院の個別指導の実例（10）：患者調査からの監査

11　整骨院、接骨院の個別指導の実例（11）：部位転がしでの指導監査

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