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不正請求の実例(保険者の情報提供で個別指導を経ず監査)のコラムです。整骨院・接骨院の個別指導・監査は、柔道整復師の指導監査に強い弁護士にご相談下さい。

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整骨院、接骨院の個別指導の実例(12):情報提供(保険者)での監査

整骨院の個別指導、監査に強い弁護士の鈴木陽介です。

個別指導・監査には、弁護士を同席させるべきです。


ここでは、保険者からの情報提供(通報)で個別指導を経ず直ちに監査となり、その後、療養費不正請求での受領委任の取扱いの中止となった実例をご紹介します。中国四国厚生局の平成30年3月付けの取扱いの中止の実例であり、説明のため簡略化等をしています。

整骨院・接骨院の個別指導と監査については、以下のコラムもご覧いただければ幸いです。

【コラム】整骨院、接骨院の個別指導と監査の上手な対応法

保険者からの情報提供で個別指導を経ず監査となった整骨院


 1 監査に至った経緯

中国四国厚生局の公表資料によれば、整骨院が監査に至った経緯は以下のとおりです。

1 保険者からの情報提供による監査
保険者から療養費の不正請求に係る情報提供があり、中国四国厚生局と広島県が共同で監査を実施した。

【コメント】
保険者や患者、スタッフなどから不正請求の情報提供・通報が厚生局にあった場合、厚生局としては、その施術所・柔道整復師に対し、必要性があると判断した場合は、(状況に応じ患者調査を実施した上で)まずは個別指導を実施することがスタンダードな実務運用と思われます。

しかし、本ケースでは、個別指導を経ずに、直ちに監査の実施に至っています。このようなケースでの典型例は、その施術所が廃止などされ、個別指導が実施できなかったため、初手で監査となるというものです。例えば、個別指導の通知が書面でなされてから、個別指導の実施日まで一定の期間(コラム作成時点の運用では1か月ほど)があり、その期間内に個別指導の実施前に施術所を廃止すると、通知書で予定されていた個別指導はなくなりますし、または、そもそも施術所が廃止されているケースであれば、個別指導は実施できず実施通知もなされないものと考えられます。

施術所が廃止されているなどし、個別指導が実施できない場合、厚生局としては、本来は個別指導で指導し様子をみることで対応できたケースについても、個別指導が実施できないので、不本意ながら、監査の実施に踏み切るケースもあるものと思われます。

施術所が廃止されているケースで、個別指導を経ずに初手で監査とするかは、具体的な不正請求の疑義の内容や、状況を総合的に勘案して判断されるものと考えられます。

ただ、本ケースでは、施術所が中止の時点で廃止されておらず、上記の施術所が廃止されていたため個別指導を経ずに監査となったケースではないことが窺われます。真相は不明ですが、理由を想像すると、悪質な不正請求の疑義が濃厚であり、早急に監査を実施すべき事情があり、十分な証拠もあったため、初手での監査に踏み切ったとの背景があり得るものと思われます。なお、不正請求の情報提供があった場合に厚生局が個別指導や監査の実施についてどのように判断・対応するかについては、柔整の他の事例・ケースはもちろん、情報提供での医科、歯科、薬局の個別指導等の事例・ケースも参考になるものと思われます。

 2 受領委任の取扱いを中止とした理由等

1 取扱い中止の理由

(不正事項)
@ 負傷原因の虚偽記載による不正請求
負傷原因を患者に確認することなく、施術録に不実記載し、療養費を不正に請求していた。

A 施術所外施術の不正請求
療養費の支給対象とならない施術所又は患家以外の場所で行った施術について、保険施術として施術録に記載し、療養費を不正に請求していた。

(不当事項)
@ 初検時相談支援料の不当請求
算定要件を満たさない初検時相談支援料を不当に請求していた。

A 急性外傷の根拠の乏しい不当請求
施術録に患者から確認した負傷原因の記載がなく、急性又は亜急性の外傷性の負傷である根拠が乏しいまま療養費を不当に請求していた。

【コメント】
療養費の支給対象とならない、施術所や患家以外場所での施術、すなわち施術所外施術について療養費を不正に請求しており、これが監査に至った大きな要因と思われます。

例えば運動場などで実際に施術をしていたとしても、支給対象とならない施術所外施術は、不正請求となりますので、十分注意する必要があります。

本ケースでは、保険者からの情報提供・通報に基づき監査が実施されているところ、保険者の厚生局への情報提供・通報の前提として、患者がその保険者に施術所外施術の不正について通知していた可能性が十分あるものと思料します。

2 受領委任の取扱いを中止とする根拠規定
柔道整復師の施術に係る療養費について
平成22年5月24日付け保発0524第2号厚生労働省保険局長通知

3 受領委任の取扱いの中止年月
平成30年3月

※ 係る柔道整復師は、以後原則として5 年間療養費の受領委任の取扱いができない。
※ 柔道整復施術療養費の受領委任の取扱いとは、施術を受けた患者は、施術に要した費用のうち、一部負担金のみを柔道整復師に支払い、残りの費用は、患者から療養費の受領の委任を受けた柔道整復師が保険者に請求する取扱いのことである。なお、この受領委任の取扱いが中止になると、患者は、施術に要した費用の全額を一旦施術者に支払い、一部負担金を除いた残りの費用を保険者に療養費として請求することとなる。受領委任の取扱いの中止措置を受けた柔道整復師は、原則として中止後5年間は受領委任の取扱いができない。

 3 監査時に判明した不正、不当請求額

平成28年9月〜平成29年5月施術分
・ 不正請求 19名分 22万2620円
・ 不当請求  3名分  2万4230円
合計     20名分 24万6850円


※ 監査で判明した分以外についても不正・不当請求のあったものについては、最初に監査を行った日の前月から5年前まで遡り保険者等へ返還させることとしている。


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整骨院、接骨院の個別指導と監査のコラム


整骨院・接骨院の個別指導と監査のコラムの一覧です。
保険者からの情報提供での監査の実例の他、多数のコラムがございます。
個別指導(整骨院、接骨院)の際に、また日常の運営にご活用下さい。

 個別指導と監査の対応法

1 整骨院、接骨院の個別指導と監査

 整骨院・接骨院の個別指導の実例

1 整骨院、接骨院の個別指導の実例(1):一律100円のあんま

2 整骨院、接骨院の個別指導の実例(2):マッサージの不正請求

3 整骨院、接骨院の個別指導の実例(3):施術日数の水増し請求

4 整骨院、接骨院の個別指導の実例(4):施術所外施術の不正請求

5 整骨院、接骨院の個別指導の実例(5):監査拒否での中止

6 整骨院、接骨院の個別指導の実例(6):患者情報提供での監査

7 整骨院、接骨院の個別指導の実例(7):無資格者の施術の不正請求

8 整骨院、接骨院の個別指導の実例(8):被保険者への文書照会

9 整骨院、接骨院の個別指導の実例(9):保険者の情報提供での指導

10 整骨院、接骨院の個別指導の実例(10):患者調査からの監査

11 整骨院、接骨院の個別指導の実例(11):部位転がしでの指導監査

12 整骨院、接骨院の個別指導の実例(12):保険者情報提供での監査

13 整骨院、接骨院の個別指導の実例(13):詐欺の有罪判決後の監査

14 整骨院、接骨院の個別指導の実例(14):無資格者施術の情報提供

15 整骨院、接骨院の個別指導の実例(15):不正請求の謝罪文の提出

16 整骨院、接骨院の個別指導の実例(16):入院中の患者の不正請求

17 整骨院、接骨院の個別指導の実例(17):架空請求の逮捕後の監査

18 整骨院、接骨院の個別指導の実例(18):指導中断後の施術所廃止

19 整骨院、接骨院の個別指導の実例(19):中国四国厚生局の指導

20 整骨院、接骨院の個別指導の実例(20):東海北陸厚生局の監査

21 整骨院、接骨院の個別指導の実例(21):関東信越厚生局の指導

22 整骨院、接骨院の個別指導の実例(22):交通事故不正請求と監査

23 整骨院、接骨院の個別指導の実例(23):近畿厚生局の監査

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